真田丸の隠しテーマは?三谷幸喜が語る最強武将ナレーションの役割

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離れても心に存在する「真田丸」という家族

敗者に惹かれると言いましたが、『滅びの美学』はあまり好きではありません。信繁は、死に花を咲かせるためではなく、あくまでも勝つつもりで大坂城に入ったと思いたい。彼がどんな思いで兵を動かして家康を追い詰めていったのか、考えただけでワクワクして眠れなくなります。見てくださる人たちが、ひょっとしたら今回の『夏の陣』は豊臣方が勝つんじゃないかと思ってしまうような、それぐらい希望に満ちたクライマックスを書きたいと思っているんです。

また最終回に至るまで、信繁の家族に対する思いは、決して薄まることはありません。無念のうちに死んでいった父への思い、最後まで自分についてきた、妻や子に対する思い。そして今は敵となった兄への思い。

そこは「新選組!」との大きな違い。新選組というのは、日本の歴史上初めて、主従関係ではなく友情で結ばれた人たちです。それは奇跡的な結び付きであったとすら思いますが、悲しいかな、友情が途切れるとその結び付きもなくなり、最後はバラバラになって何もなくなってしまう。

一方、たとえけんかをしても、一緒にいなくても、家族というのは切れないものです。真田家の面々も、『家族』を常に心の隅に抱えて生きていくことになります。タイトルの『真田丸』は、もちろん『大坂の陣』のときに信繁が守った出城のことですが、同時に一族を船に例えたものでもあります。家族については、名前すら残っていない女性たちを含め、一人ひとりのドラマをきちんと作っていくつもりです。

『真田丸』は信繁が主人公ではありますが、同時に群像劇です。信繁と家族、信繁と『天正壬午の乱』に関わる武将たち、信繁と秀吉を取り囲む人々、信繁と大坂城に籠もった牢人たちと、物語が進むにつれ、群像劇の『群像』は次々とメンバーが入れ替わります。また、信繁もそうですが、武田勝頼、上杉景勝、豊臣秀次といった、偉大なる先代の跡を引き継いだ『ジュニア』の悲喜劇もしっかりと描きたいところ。

描きたいものが多すぎますね。でもそれが描けてしまうのが、大河ドラマの醍醐味。連続ドラマのおもしろさは、「来週どうなるんだろう」と楽しみに待つところにあります。かつて僕も、そんなふうに大河ドラマを見て、歴史が好きになりました。一年間、毎週リアルタイムで見る人だけが味わえる楽しさを、ちゃんと届けられるドラマにしたい。ですから皆さんも、週に一度、日曜の夜は家族全員テレビの前に集まって大河ドラマを見るというのを、ぜひ習慣にしてほしいですね。

DVD & Blu-ray

大河ドラマ「真田丸」のDVD&Blu-rayが発売中です。

vol.1は第1話「船出」~第12話「人質」を収録。
vol.2は第13話「決戦」~第24話「滅亡」を収録。
vol.3は第25話「別離」~第35話「犬伏」を収録。
vol.4は第36話「勝負」~第50話最終回を収録。
 

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